野口さんらの成層圏の予測可能性に関する論文

野口さんらの成層圏北極点温度の予測可能性に関する論文が気象集誌に受理され、暫定版(EOR)がウェブ掲載されました。

  • Noguchi, S., H. Mukougawa, T. Hirooka, M. Taguchi, and S. Yoden, 2014: Month-to-month predictability variations of the winter-time stratospheric polar vortex in an operational one-month ensemble prediction system. J. Meteor. Soc. Japan, 92, http://dx.doi.org/10.2151/jmsj.2014-603.

解説

この論文では、気象庁現業1ヶ月アンサンブル予報データを用いて、成層圏における予測可能性の特徴を記述しました。その際、かつて E. N. Lorenz が行った手法(ロジスティック方程式を用いた誤差成長特性の推定)をスプレッド(アンサンブル予報間のばらつきの指標)の時系列に対して適用することで、対流圏から成層圏までの予測可能な期間の上限を定量的に見積もることが可能となりました。これにより、成層圏における予測可能な期間(20~35日)は対流圏(14日)よりも長く、季節進行への依存性が大きい等の統計的特徴を示すことができました。また、系統的誤差とその原因についても解析しています。

大気運動のカオス的性質の発見およびその予測可能な期間の見積もりを行った Lorenz による研究以降、数値天気予報の分野では様々な発展がなされてきましたが、アンサンブル予報の現業化は特に大きな出来事でした。これにより、初期値の不確実性がどのように時間発展するかについての情報(スプレッド等)が得られるため、これまでに蓄積されてきた大量のアンサンブル予報データは、当時それを単一の予報結果から推測するしかなかった Lorenz らからしたら喉から手が出る程欲しいものであったと考えられます。本論文では、そのような現在のデータを用いて、彼らの為したかったことを成層圏まで拡張して行いました。

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