金星大気観測データ同化に関する論文

金星大気の観測データを大気大循環モデルAFESに同化するシステムに関する論文(榎本准教授が共著)が掲載されました。

  • Sugimoto, N., A. Yamazaki, T. Kouyama, H. Kashimura, T. Enomoto and M. Takagi: Development of an ensemble Kalman filter data assimilation system for the Venusian atmosphere. Sci. Reports, doi:10.1038/s41598-017-09461-1.
  • プレスリリース(慶應義塾大学)

多階層地球変動科学実習I

時長准教授と榎本准教授は,2016年9月5〜7日2016年度多階層地球変動科学実習Iに参加しました。参加した教員は5名,外国人研究者1名,学生5名でした。9月6日午後に宿泊先の和歌山県立潮岬青少年の家で時長准教授は「中緯度における大気海洋相互作用」(Ocean–Atmosphere interaction at midlatitudes),榎本准教授は「気象データ同化の基礎」(Introduction to atmospheric data assimilation)と題した講義を行いました。潮岬風力実験所で,学生さんたちは堀口助教指導の下,乱流観測のため超音波風速計を設置・撤収したり,林泰一元准教授から設置されている観測機器の説明を受けたりしていました。9月5日は白浜海象観測所の海洋観測塔,9月7日には気象庁潮岬特別地域気象観測所や気象庁関西航空地方気象台を見学しました。img_1607

南シナ海における追加のゾンデ観測の影響

南シナ海における追加のゾンデ観測の影響について,アンサンブル再解析ALERA2を用いて評価した論文が出版されました。

Miki Hattori, Jun Matsumoto, Shin-Ya Ogino, Takeshi Enomoto, Takemasa Miyoshi, 2016: The Impact of Additional Radiosonde Observations on the Analysis of Disturbances in the South China Sea during VPREX2010. SOLA, 12, 75–79, doi:10.2151/sola.2016-018.

Kalnay教授の教科書を読了

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応用気象学ゼミナール1A, 1B, 1C, 1D(向川・榎本・井口)で,平成25年度から読み始めたKalnay教授の教科書 Atmospheric Modeling, Data Assimilation and Predictability(大気モデリングとデータ同化,予測可能性)を今日全て読み終えました。この教科書は,数値天気予報の基礎となる気象力学,大気大循環モデルとデータ同化の仕組み,予測可能性とアンサンブル予報についての入門書です。

受講生の感想

  • この厚さで数値予報に関する様々な項目に触れていて、やっぱり良い本だと思い ました。ちょっと掘り下げてレジュメを作った部分などは今読み返すと感慨深いです。面白かったです。(災害気候D2野口峻佑さん )
  • モデルの中身やデータ同化の仕組みなどについて知ることができ、また特に予測可能性の章はとても興味深く、面白く読ませて頂きました。実際の天気予報と直結する話も多かったので、とても良い勉強になりました。(災害気候M2山田賢さん)
  • 最後まで読み進めることができて感激です。本読みゼミでは毎回のように議論 が起こり、理解を深める助けになりました。自分個人としては集中講義では理解できなかった、特異ベクトル、リアプノフベクトルについて理解できたことが なにより嬉しいです。(災害気候M2上田学さん)
  • データ同化の基礎の部分から学ぶことができ、今まで自分の中でぼんやりとしていたデータ同化についての理解が確実に深まりました。修士課程に入ってからずっと継続していた本読みゼミだったのでついに読了できて感慨深いです。(暴風雨・気象環境M2井岡佑介さん)
  • 第6章から参加させていただき、途中参加ということから、本文を読み進めて行く上で理解できない言葉や数式が多々ありました。しかしその都度先生方や先輩方が丁寧に教えてくださり、なんとか読み進めることが出来ました。ありがとうございました。(暴風雨・気象環境M1山本雄平さん)

参考

榎本准教授に世界気象機関から感謝状

世界気象機関(WMO)は,世界天気研究計画(WWRP)の下で2005年から2014年までの10年間に渡り研究プロジェクトTHORPEX(観測システム研究・予測可能性実験)を実施してきました。その成果を総括するために2014年11月17〜18日にジュネーブで開催されたTHORPEX国際中核運営委員会(榎本准教授は不参加)において,THORPEXに対して顕著な貢献をした約200名(うち日本人12名)に感謝状を授与しました。榎本准教授は,一人として選ばれました。

榎本准教授の話

会合に出席された気象庁の方から感謝状を郵送していただきました。思いがけない感謝状を,大変うれしく思います。研究者として駆け出しの頃に東京で開催された国際会議に参加した際,THORPEXの提案者の一人Mervin A. Shapiro博士と出会いました。THORPEXは,予測可能性の限界に取り組む研究計画で,數値気象予報を社会に活かしていこうしていて,国際協力や現業予報機関と大学・研究機関との連携を重視しているとの説明を受け,その趣旨に共感しました。Shapiro博士は,地球シミュレータ用大気大循環モデルAFESで行った超高解像度(10 km,当時としては超高解像度)シミュレーションに興味を持ち,地球規模で連鎖する局地的な顕著現象を再現できると期待したようです。日本気象学会にTHORPEX研究連絡会を設立することを提案したり,中欧に歴史的な洪水をもたらした切離低気圧や日本に猛暑をもたらした高気圧のシミュレーション研究などに取り組んだりしてきました。THORPEXをきっかけとして,この10年間でデータ同化や予測可能性が,日本でも研究対象として認知されてきたと思います。今後もこの分野の研究に一層努力して取り組みたいと思います。

参考

  • WMO (World Meteorological Organization) 世界気象機関。国連の機関の一つ。気象庁による説明
  • THORPEX (The Observing System Research and Predictability Experiment) 観測システム研究・予測可能性実験。數値天気予報の予測精度向上とその高度利用を目的とした研究計画
  • AFES (Atmospheric General Circulation Model for the Earth Simulator) 地球シミュレータ用大気大循環モデル