2  はじめに

Rは統計が得意なプログラミング言語で、きれいな図を作ることができます。

2.1 Rをインストールする

早速Rをインストールしてみましょう。Rのウェブサイトはhttps://www.r-project.org/です。 Rはターミナル(macのターミナルやWindowsのWindows Terminal等)から使うこともできますが、RStudio https://posit.co/download/rstudio-desktop/から使うと便利です。

RStudio

Download and Install Rから自分の使っているOSのコンパイル済バイナリを取得してインストールしてください。

2.2 ヘルプを参照する

Rのヘルプはコンソールでhelp()または?を使うか、RStudio右下のHelpで検索できます。

help("mean")

2.3 計算をしてみよう

ターミナルでRを起動するか、RStudioを起動してください。

大気に含まれている主要な成分は、窒素、酸素、アルゴンです。 これらの成分はよくかき混ぜられているので、乾燥空気の平均分子量は容積比を重みとした平均で計算できます。

大気の主成分
成分 分子量 容積比%
窒素 28 78
酸素 32 21
アルゴン 40 1
28 * 0.78 + 32 * 0.21 + 40 * 0.01
[1] 28.96

2.4 グラフを描いてみよう

標準的な気温の鉛直構造として、標準大気が定義されています。 標準大気を縦軸をジオポテンシャル高度、横軸を気温として描画してみましょう。 ジオポテンシャル高度, geopotential heightとは、重力加速度を鉛直積分してジオイド面での重力加速度\(g_0=9.80065\,\mathrm{m\,s}^{-2}\)で割ったものです。

\[ Z = \frac{1}{g_0}\int_0^zg(z')\mathrm{d}z' \tag{2.1}\]

T <- c(15.0, -56.5, -56.5, -44.5, -2.5, -2.5, -58.5, -86.2)
h <- c(0, 11, 20, 32, 47, 51, 71, 84.852)
plot(T, h, type="l")

<-は代入を表す演算子で左側のThに右側の値を与えています。 c()はコンマで区切った値を繋げて(concatenate)ベクトルを作る函数です。 ベクトルの要素はT[1]のように添字で参照できます。添字はFortran同様に1から始まります。Pythonでは、-1は最後の要素を意味しますが、Rではマイナスをつけると、その要素を取り除いたベクトルを返すので注意してください。 plot()でグラフを描いています。引数としてx、yの値であるTh、グラフの種類を折れ線グラフにするtype="l"を与えています。

グラフはウィンドウの右下のPlotsタブに表示されます。Exportボタンで画像やPDFに保存したり、クリップボードにコピーすることができます。

標準大気

2.5 プロジェクト

統計解析には、対象となるデータが必要であるだけでなく、解析のためのスクリプト、画像、報告書、プレゼンテーションなどが生成されます。これらのファイルは、一つのフォルダ(ディレクトリ)の中に集めておくと便利です。このディレクトリを作業ディレクトリと呼びます。Rで作業ディレクトリを確認するにはgetwd()、設定するにはsetwd(dir)を使います。dirにはディレクトリのパスを""で括られた文字列で与えるか、文字列の入った変数を渡します。

RStudioを起動したときの作業ディレクトリは、Macではホームディレクトリ、Windowsでは「ドキュメント」フォルダです。Windowsのドキュメントフォルダは、通常OneDrive上に設定されています。場所はTools > Global Optionsで確認、設定できます。

Global Options

RStudioのプロジェクトを使うと、プロジェクトファイルのある場所が作業ディレクトリになります。プロジェクトを作るには、RStudioのタイトルバーのすぐ下のボタンのうち、左から2番目+Rと書いてある立方体をクリックします。新規プロジェクト、New directoryを選択し、プロジェクトの名前と、作業ディレクトリを保存する上位のディレクトリを指定します。