第3回災害気候セミナーを、7月14日(火)の13:00〜14:00にオンラインで開催します。
- 講演者1:福島実(D1)
- タイトル:FNOを用いた代理随伴モデルによるトイモデルの初期値感度推定
- 講演要旨:
- 随伴感度解析は、予報対象に対する初期値の影響を調べるために用いられる手法である。随伴モデルの構築には多大な労力が必要である。そこで本研究では、Fourier Neural Operator(FNO)を用いて非線形力学モデルの時間発展を近似し、その近似に基づく代理随伴モデルを利用して、自動微分により勾配を計算する。FNOによる時間発展近似を初期値感度解析に用いる場合、順方向予測の誤差が小さいことに加えて、入力に対する勾配が従来の随伴法による感度とどのように対応するかを調べる必要がある。本発表では、Lorenz-96モデルを対象として、FNOの学習方法や予測時間の違いが順方向予測および初期値感度推定に与える影響について議論する。
- 講演者2:野村鈴音(D2)
- タイトル:ブロッキング期間における予測可能性変動の力学システムに対する準定常状態に基づく力学的考察
- 要旨:
- ブロッキング現象は、偏西風が南北に大きく蛇行し、移動性高・低気圧の進行を妨げることで異常気象をもたらす要因となる。その形状や持続期間は多様であり、一貫した定義が困難である。そこで本研究では、ブロッキングがジェット気流全体の運動を停滞させる性質に着目し、北半球における大気運動の準定常性とブロッキング現象との力学的関係を明らかにする。解析においては大気の傾圧性を考慮し、対流圏下・中・上層の3層における大気状態の変化が、解析期間全体の下位5%となる期間を準定常状態と定義した。2020/21年冬季から得た3つの準定常状態は、非定常状態に比べてその後の6時間における状態変化が小さかった。また、非定常状態ではみられない特徴として、準定常状態の期間中にアンサンブルスプレッドが極小になることが確認された。球面上の3層準地衡風方程式を用いた線型安定性解析を実施した結果、準定常状態の期間中に成長率が単調に増加することがわかった。この結果は、先行研究で指摘されているブロッキング現象の形成および衰退の予測困難の力学的な背景を示唆するものである。
