榎本准教授が申請した平成27年度挑戦的萌芽研究が採択

投稿者: | 2015年4月1日

榎本准教授が申請した平成27年度挑戦的萌芽研究「球面螺旋座標を用いた全球大気シミュレーションコードの開発」が採択されました。

榎本准教授の話。

大気大循環のシミュレーションを行うには,球面上で偏微分方程式を解く必要があります。球面上に格子点を均等に配置すると方法として,球面螺旋に着目しました。球面螺旋は,球を回りながら北極と南極とを結ぶ一本の曲線です。この上に格子点を並べると,好きな数の格子を一様に配置することができます。

格子が一様であるというのは,どの格子を選んでも,近くの格子との距離があまり変わらないということです。格子が一様だと球面上の積分などが正確に行えるという利点があります。格子生成手法は様々ありますが,その多くには格子数の取り方に制約があり,格子数とともに一様性が失われていくという問題があります。

実は,球面上に多数の点を準一様に配置するという 問題は21 世紀の未解決な数学の問題です。化学においてはフラーレンに代表される分子構造,物理学におい ては点電荷の配置(J. J. Thomson の問題),計算科学では球面上の積分や計算複雑性理論,植物学では花粉の小孔の配置(Tammes の問題)やウィルス形態学,結晶学などにも現れます。

今後,球面螺旋格子の性質を調べ,これを利用した数値手法を開発し,全球大気シミュレーションの精度向上に貢献できるように研究を進めていきたいと思います。

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