榎本准教授に世界気象機関から感謝状

投稿者: | 2014年12月10日

世界気象機関(WMO)は,世界天気研究計画(WWRP)の下で2005年から2014年までの10年間に渡り研究プロジェクトTHORPEX(観測システム研究・予測可能性実験)を実施してきました。その成果を総括するために2014年11月17〜18日にジュネーブで開催されたTHORPEX国際中核運営委員会(榎本准教授は不参加)において,THORPEXに対して顕著な貢献をした約200名(うち日本人12名)に感謝状を授与しました。榎本准教授は,一人として選ばれました。

榎本准教授の話

会合に出席された気象庁の方から感謝状を郵送していただきました。思いがけない感謝状を,大変うれしく思います。研究者として駆け出しの頃に東京で開催された国際会議に参加した際,THORPEXの提案者の一人Mervin A. Shapiro博士と出会いました。THORPEXは,予測可能性の限界に取り組む研究計画で,數値気象予報を社会に活かしていこうしていて,国際協力や現業予報機関と大学・研究機関との連携を重視しているとの説明を受け,その趣旨に共感しました。Shapiro博士は,地球シミュレータ用大気大循環モデルAFESで行った超高解像度(10 km,当時としては超高解像度)シミュレーションに興味を持ち,地球規模で連鎖する局地的な顕著現象を再現できると期待したようです。日本気象学会にTHORPEX研究連絡会を設立することを提案したり,中欧に歴史的な洪水をもたらした切離低気圧や日本に猛暑をもたらした高気圧のシミュレーション研究などに取り組んだりしてきました。THORPEXをきっかけとして,この10年間でデータ同化や予測可能性が,日本でも研究対象として認知されてきたと思います。今後もこの分野の研究に一層努力して取り組みたいと思います。

参考

  • WMO (World Meteorological Organization) 世界気象機関。国連の機関の一つ。気象庁による説明
  • THORPEX (The Observing System Research and Predictability Experiment) 観測システム研究・予測可能性実験。數値天気予報の予測精度向上とその高度利用を目的とした研究計画
  • AFES (Atmospheric General Circulation Model for the Earth Simulator) 地球シミュレータ用大気大循環モデル