スーパーエルニーニョの比較

投稿者: | 2020年1月31日

塩崎公大君と榎本准教授が2015/16年のエルニーニョを1982/83年と1997/98年の事例と比較しました。

エルニーニョは熱帯東太平洋の海面水温が平年よりも高くなる現象です。熱帯の対流活動の場所が変わることにより、中高緯度にも影響があります。日本付近では暖冬の傾向があります。特に顕著なエルニーニョ、スーパーエルニーニョのうち、極東域で1982/83年は寒冬、1997/98年は暖冬、2015/16年は平年並みでした。2015/16年はインド洋海盆昇温(インド洋全体が暖かくなる現象)が発生したため海洋大陸の対流が不活発になりました。その影響で、アジアモンスーンが弱くなっていました。1997/98年は正のインド洋ダイポールモード現象(IOD、インド洋西部で高温、東部で低温)が発生し暖冬、1982/83年は負のIODで寒冬となりました。

  • Shiozaki, M. and T. Enomoto, 2020: Comparison of the 2015/16 El Niño with the two previous strongest events. SOLA, 16, doi:10.2151/sola.2020-003, 12–16.