日本気象学会2016年度秋季大会

2016年10月26〜28日に日本気象学会2016年度秋季大会が名古屋大学で行われました。当研究室からの発表は以下の通りです。

  • B202 榎本剛,吉田聡,山崎哲,中野満寿男,山根省三,山口宗彦,松枝未遠「2013年台風第3号Yagiの予報実験」
  • P319 吉岡大秋,榎本剛「アンサンブルダウンスケール実験による台風発生メカニズムに関する解析―2016年ハリケーンPALIの事例―」

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激甚化する台風・爆弾低気圧起源の災害ハザード予測研究ワークショップ2016

2016年10月6〜7日九州大学伊都キャンパスで科学技術研究費補助金基盤研究(A)「激甚化する台風・爆弾低気圧起源の災害ハザード予測研究」(研究代表者 川村隆一 九州大学大学院教授)のキックオフワークショップが開催されました。榎本准教授(連携研究者)が「OpenIFSを用いた予測実験」というタイトルで,現業数値予報モデルを用いた台風や爆弾低気圧の予測研究の意義について講演しました。

榎本准教授らのアンサンブル感度解析に関する論文

榎本准教授らのアンサンブル感度解析に関する論文が気象集誌に掲載されました。

解説

感度解析とは,ある領域(検証領域)の予測に最も影響のある領域を特定する手法です。検証領域の予測を改善するために,特定された領域をより詳しく観測するターゲット観測に役立つ情報です。例えば,日本に温帯低気圧や台風が接近しているとします。日本の予報をよくするために不足している情報は,必ずしも低気圧や台風の周辺だけとは限らず,離れた場所からの影響が及ぶことがあります。従来は,接線型モデルや随伴モデルと呼ばれる複雑な大気大循環モデル(大気の物理法則を表すコンピュータのプログラム)を変形したプログラムを苦労して作成する必要がありました。榎本准教授らが開発した手法では,接線型モデルや随伴モデルを使わずに週間アンサンブル予報などのデータから情報が抽出できます。

関連論文

榎本准教授が提案した科研費Bが採択

榎本准教授が研究代表者として提案した「台風進路予測の変動メカニズムの解明」(科学研究費基盤研究B)が採択されました。 研究期間は,平成26年度から5年間を予定しています。 この研究では,台風の進路予測がときに大きく外れる原因について,複数の大気大循環モデルと複数の初期値を使い「たすき掛け実験」などをして調べることにしています。

気象研究所台風研究部コロキウム

宮地さんが気象研究所台風研究部コロキウムで台風の進路予測に関する修士論文について発表しました。 山口宗彦研究官他気象研究所の皆さんにお世話になりました。ありがとうございました。

Title: NCEP-GFSを用いた複数解析値からの台風進路予報実験

Presenter: 宮地哲朗・榎本剛(京大防災研)

Abstract: NCEPの全球予報モデルGlobal Forecast System(GFS)を用いて、NCEP、ECMWF、気象庁の解析値を初期値とした 進路予報実験を行い、進路予報誤差が初期値の違いとモデルの違いによりどのような影響を受けるのかを調べた。

2009年に北西太平洋で発生した22個の熱帯低気圧の平均進路予報誤差は、NCEP初期値の場合に比べ、 ECMWF初期値を用いた場合は改善し、気象庁初期値を用いた場合は悪化した。

台風第20号Lupitの北への転向の予測は、初期値の交換により予測が大きく改善し、初期値の再現性が重要である ことが分かった。この結果は、気象庁のモデルを用いたYamaguchi et al.(2012)の結果と一致する。 Yamaguchi et al.(2012)で予報モデルの重要性が指摘されていた台風第17号Parmaの事例では、 気象庁予測に見られた北進バイアスは、気象庁初期値を用いたGFSによる予測では減少し、予報モデルの違いによる 改善が見られた。しかし、NCEP初期値では見られない北進バイアスが依然残っており、初期値の違いの影響も示唆された。

最後に、初期値の渦成分と環境場成分を互いに入れ替える実験を行い、初期渦の違いが予測誤差に与える影響を調べた。 Parmaの事例では、初期渦の鉛直構造に違いが見られたが、予測進路は環境場成分として用いた初期値の結果とほぼ同じ進路となり、初期環境場の再現性が重要な事例であったと考えられる。